愛色と哀色の夜

杏さんに促されて試着室に入ったボク達は、さっき選んだ服に着替えました。

「やっぱり麗菓さん似合うよ!かわいい!!」

「あ、あまり見ないで、恥ずかしい…」

麗菓さんはフリルブラウスにスカートという、とてもかわいい服を選びました。

「麗奈もよく似合ってるわよ?かわいい♪」

ふふ、ボクは笑うと、麗菓さんに抱き着きます。抱き着かれた麗菓さんは擽ったそうにすると、優しく頭を撫でてくれました。

「…ねぇ麗菓さん…」

「なぁに?」

囁くように名前を呼ぶと、麗菓さんは返してくれました。その優しい声を聞いて、急に泣きたくなります。

「……ううん、なんでもない」

涙を堪えて言うと、試着室の扉を開けました。

「ふふ、やっぱりふたりともかわいいじゃない…」

ボク達を迎えたのは杏さんだけでした。不思議に思って辺りを見回すと、お店の雰囲気がどことなく変わったような気がします。

「あ、あの…ルイさんは…?」

恐る恐る、という風に尋ねる麗菓さんに杏さんは微笑んで

「いるわよ?」

何故でしょう、さっきから最初にルイさんと出会った時に感じた嫌悪感が杏さんからも感じます。

「そう、ですか?…ならよか…」






「後ろに、ね♪」






杏さんがいい終えるが早いか、ボク達が倒れるのが早いか、ボクが起きていられたのはそこまででした。

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