愛色と哀色の夜
約束
*****
「おかえりなさい」
お店に戻ると、杏さんが迎えて下さいました。
「ただいま戻りました」
ふたり揃って礼をすると、何やらカップみたいなものを持って杏さんは佇んでいます。
「…外、寒かったでしょう」
スープと言われ、そっと受け取ります。すると白い湯気がほかほかと顔に当たりました。
「熱…っ」
麗奈は言うと、カップを落としそうになりました。
「じゃあわたしが持っててあげる」
カップを受け取ると、溢さないように店の奥へ向かいます。
「ありがとう麗菓さん」
はにかむような笑顔で言うと、先に奥へと向かう麗奈。
「…ごめんなさい…」
その後ろ姿を見詰めていたわたしは、囁くような声に隣を見ました。
すると声の主である杏さんが寂しげに此方を見詰めています。
「杏さん…?」
「貴女だって、本当は嫌なんでしょう?…ね、か…」
「麗菓さーん、杏さーん、早くーぅ!!」
お店の奥から麗奈の声が響き、わたしは溢さないように気を付けながら杏さんを見ます。
「杏さ…」
「やっぱりなんでもないわ、…早く行ってあげなさい。大事な子なんでしょう?」
大事な子、その言葉にわたしは強く頷きました。
「おかえりなさい」
お店に戻ると、杏さんが迎えて下さいました。
「ただいま戻りました」
ふたり揃って礼をすると、何やらカップみたいなものを持って杏さんは佇んでいます。
「…外、寒かったでしょう」
スープと言われ、そっと受け取ります。すると白い湯気がほかほかと顔に当たりました。
「熱…っ」
麗奈は言うと、カップを落としそうになりました。
「じゃあわたしが持っててあげる」
カップを受け取ると、溢さないように店の奥へ向かいます。
「ありがとう麗菓さん」
はにかむような笑顔で言うと、先に奥へと向かう麗奈。
「…ごめんなさい…」
その後ろ姿を見詰めていたわたしは、囁くような声に隣を見ました。
すると声の主である杏さんが寂しげに此方を見詰めています。
「杏さん…?」
「貴女だって、本当は嫌なんでしょう?…ね、か…」
「麗菓さーん、杏さーん、早くーぅ!!」
お店の奥から麗奈の声が響き、わたしは溢さないように気を付けながら杏さんを見ます。
「杏さ…」
「やっぱりなんでもないわ、…早く行ってあげなさい。大事な子なんでしょう?」
大事な子、その言葉にわたしは強く頷きました。