愛色と哀色の夜
「お待たせ。はい、温かい飲み物よ」
女性はコップをふたつ、テーブルに置くと、何処かへ行きました。
「…これは…?」
「飲んでも大丈夫だよ、ただのスープさ」
ルイさんは一口飲んで、車の中にいた時のように黙ってしまいます。
「…あらあら、黙りこくって…。……さて、何から話しましょうか?」
いつの間にかボク達の正面に座っていた女性は、ボク達の前にあるコップと同じコップを持って、此方を見詰めていました。
「…最初は、自己紹介をしたらいいんじゃないかな?」
女性は一口スープを飲むと、優しく微笑んで頷きました。そうしてボクを見ると、何処か悲しそうな顔をします。
「そうね、本当にそう…。…久しぶりに会ったんですもの、わたしも、ゆっくり話したいわね…」
「……久しぶりね、麗亜(れいあ)。貴女はわたしを忘れてるでしょうけど、…わたしは、貴女の生みの親」
女性は、悲しそうな顔のまま続けます。
「…そして、遠藤やエトワールの歴史から追放された、《遠藤 乃愛》よ」
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