愛色と哀色の夜
真実
*****
「産みの…親…?」
突然言われた言葉に、暫く反応が出来ませんでした。
「…産みのってことは、キミが、ボクの「おかあさん」……?」
目の前に座る女性、《遠藤 乃愛》さんは頷くと、うれしそうにボクを見詰めます。
「えぇ…。……貴女と離れて、もう何年になるのかしら…。あの頃のわたしは、貴女を産むことで自分の立場が明確になってしまう気がして、…自分の大切なものを捨てて、逃げたのよね…」
「……逃げた…?」
何処か悲しい響きの言葉に、首を傾げます。すると《遠藤 乃愛》さんは悲し気に微笑みました。
「…そう、逃げたの。……「大罪人」の生まれ変わりと言われ、「大罪人」の子どもを産み落としたわたしは、「大罪人」と同じ名前を付けられ、「遠藤」そして「エトワール」の歴史から抹消された」
「そして、その重圧に堪えることが出来ず麗亜や俺を見捨てた」
「…悪いとは、思っているわ…。……何度、我が子に会いたいと願ったか…貴男に分かる…っ?!」
泣きそうな声で《遠藤 乃愛》さんは言うと、小さく溜め息を吐いて続けます。
「本当は、貴方達を見捨てるつもりなんてなかったの。…自分のお腹を痛めて産んだのだもの、当然でしょう」
「っ…だったら何故!!」
《遠藤 乃愛》さんの頬に一筋の、透明な線が流れました。それが涙だと気付くのに大した時間は掛かりませんでした。
「…「遠藤」の「エトワール」にある【掟】。『「大罪人」の産み落とした赤子は3日のうち間引(マビ)くべし』……本来なら、3日のうちに間引かなければならなかった貴女を、お婆様は情けをかけて下さったの」
いきなりに沢山のことを言われて、上手く頭が回らないボクに顔を向ける《遠藤 乃愛》さん。彼女の目はとても真剣で、少なくとも今の話が嘘じゃないことは分かりました。
「…ん…と、よくわからないんだけど……キミはボクの「おかあさん」で、ほんとならボクは生まれたその日に死んでたはず……なんだよね?」
取り敢えずわかったことだけを言うと、ルイさんが此方を向きます。
「…彼女は、君の本当の母親だよ。それは俺が保証する。……それと、これは俺…というか俺達に関係することなんだけど……」
言いにくそうに言葉を切りながらルイさんは続けます。
「何?ボク、何を聞いても驚かないよ?」
いきなりよくわからないことを言われて混乱していますが、必死に言うルイさんを見て自然にそう答えていました。
「…ありがとう。けど、無理な時は聞かなくていいからね」
気遣うように言われ、軽く頷きます。
「…実は、俺と麗奈……麗亜ちゃんは……」
その言葉を聞いた時の、「おかあさん」の顔をボクは見ていませんでした。
「この世界でも『if』世界でも、双子の兄弟だったんだよ」
「産みの…親…?」
突然言われた言葉に、暫く反応が出来ませんでした。
「…産みのってことは、キミが、ボクの「おかあさん」……?」
目の前に座る女性、《遠藤 乃愛》さんは頷くと、うれしそうにボクを見詰めます。
「えぇ…。……貴女と離れて、もう何年になるのかしら…。あの頃のわたしは、貴女を産むことで自分の立場が明確になってしまう気がして、…自分の大切なものを捨てて、逃げたのよね…」
「……逃げた…?」
何処か悲しい響きの言葉に、首を傾げます。すると《遠藤 乃愛》さんは悲し気に微笑みました。
「…そう、逃げたの。……「大罪人」の生まれ変わりと言われ、「大罪人」の子どもを産み落としたわたしは、「大罪人」と同じ名前を付けられ、「遠藤」そして「エトワール」の歴史から抹消された」
「そして、その重圧に堪えることが出来ず麗亜や俺を見捨てた」
「…悪いとは、思っているわ…。……何度、我が子に会いたいと願ったか…貴男に分かる…っ?!」
泣きそうな声で《遠藤 乃愛》さんは言うと、小さく溜め息を吐いて続けます。
「本当は、貴方達を見捨てるつもりなんてなかったの。…自分のお腹を痛めて産んだのだもの、当然でしょう」
「っ…だったら何故!!」
《遠藤 乃愛》さんの頬に一筋の、透明な線が流れました。それが涙だと気付くのに大した時間は掛かりませんでした。
「…「遠藤」の「エトワール」にある【掟】。『「大罪人」の産み落とした赤子は3日のうち間引(マビ)くべし』……本来なら、3日のうちに間引かなければならなかった貴女を、お婆様は情けをかけて下さったの」
いきなりに沢山のことを言われて、上手く頭が回らないボクに顔を向ける《遠藤 乃愛》さん。彼女の目はとても真剣で、少なくとも今の話が嘘じゃないことは分かりました。
「…ん…と、よくわからないんだけど……キミはボクの「おかあさん」で、ほんとならボクは生まれたその日に死んでたはず……なんだよね?」
取り敢えずわかったことだけを言うと、ルイさんが此方を向きます。
「…彼女は、君の本当の母親だよ。それは俺が保証する。……それと、これは俺…というか俺達に関係することなんだけど……」
言いにくそうに言葉を切りながらルイさんは続けます。
「何?ボク、何を聞いても驚かないよ?」
いきなりよくわからないことを言われて混乱していますが、必死に言うルイさんを見て自然にそう答えていました。
「…ありがとう。けど、無理な時は聞かなくていいからね」
気遣うように言われ、軽く頷きます。
「…実は、俺と麗奈……麗亜ちゃんは……」
その言葉を聞いた時の、「おかあさん」の顔をボクは見ていませんでした。
「この世界でも『if』世界でも、双子の兄弟だったんだよ」