愛色と哀色の夜
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『エトワールの奇跡』

その秘術を知ったのは、『if』世界で女衒（ぜげん）をしていた頃だった。


『if』世界の俺は、女衒として年端もいかぬ少女達を少女遊郭へ売る仕事をしていた。
鈴風 花耶（すずかぜ かや）はその時に売った少女で、


…俺と、同類だった。


俺の本名は遠藤 奈央（えんどう なお）。『if』世界で女衒として働き、麗亜の世界では存在を許されなかった「大罪人」の子どもの片割れ…ということになっている。

『if』世界というのは、俺、杏、《遠藤 乃愛》、鷲尾、鷹井（あともうひとりいる）が麗亜（って呼ぶぜ？）のいるこっち世界にくる前に存在した世界のことだ。

こっちにくる前、俺と杏（あともうひとり、杏子という）は売り手と買い手として、一緒に仕事をしていた。

花耶はその時に売った少女で、花耶を育てたのが、杏であり杏子だ。

花耶はとても真っ直ぐな少女で、純粋で無垢で…。


そして、俺と同様に世界から追放された存在だった。


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