愛色と哀色の夜
*****
目を覚ますと、暗闇の中にいた。
「…あー、確か《乃愛》の秘術にやられたんだっけ…」
俺は頭を振るとまだぼやけた脳内から記憶を呼び戻す。記憶が蘇るにつれ先に此処に来ているであろう、数時間前顔も見ずに別れた少女を思い出した。
「…あと、別な可能性から来た麗菓ちゃんもいるんだっけ?」
呟きながら、薄明かりの射している場処へと向かう。
「ルイ」としての記憶と「奈央」としての記憶が混在しているせいか、まだ自分がどっちの口調でいればいいかわからない。
薄明かりの下にいるであろう少女の見えるところまで来るとひとつ息を吐いた。
「…あそこか…」
ひとりでいると思っていた少女は隣にいる少女となにかを話している。隣にいる少女は何処か困ったような顔をして話を聞いていたが、やがて思い付いたような顔で少女を見詰めた。
「…ふぅん…あの子が花耶ちゃんか…」
困ったような顔をしていた少女を見ると、確かに麗菓と同じ瞳の色をしている。
少女もそのことに気付いたのか麗菓の瞳を見詰めたままなにかを呟いた。
「…そろそろ行った方がいいよね」
ひとり呟き少女達の元へと歩を進める。すると漸く少女の声が少しずつ聞こえてきた。
「……ですよ。…初めて………と………が…………可笑しい…です」
必死な様子で告げる少女は数時間前よりも大人びた印象を受け、これも『エトワールの秘術』の作用なのだと感じる。
「…やっぱり、先に来てたんだね」
呟いた声は思いの外響き、ふたりの少女は動きを止めた。
目を覚ますと、暗闇の中にいた。
「…あー、確か《乃愛》の秘術にやられたんだっけ…」
俺は頭を振るとまだぼやけた脳内から記憶を呼び戻す。記憶が蘇るにつれ先に此処に来ているであろう、数時間前顔も見ずに別れた少女を思い出した。
「…あと、別な可能性から来た麗菓ちゃんもいるんだっけ?」
呟きながら、薄明かりの射している場処へと向かう。
「ルイ」としての記憶と「奈央」としての記憶が混在しているせいか、まだ自分がどっちの口調でいればいいかわからない。
薄明かりの下にいるであろう少女の見えるところまで来るとひとつ息を吐いた。
「…あそこか…」
ひとりでいると思っていた少女は隣にいる少女となにかを話している。隣にいる少女は何処か困ったような顔をして話を聞いていたが、やがて思い付いたような顔で少女を見詰めた。
「…ふぅん…あの子が花耶ちゃんか…」
困ったような顔をしていた少女を見ると、確かに麗菓と同じ瞳の色をしている。
少女もそのことに気付いたのか麗菓の瞳を見詰めたままなにかを呟いた。
「…そろそろ行った方がいいよね」
ひとり呟き少女達の元へと歩を進める。すると漸く少女の声が少しずつ聞こえてきた。
「……ですよ。…初めて………と………が…………可笑しい…です」
必死な様子で告げる少女は数時間前よりも大人びた印象を受け、これも『エトワールの秘術』の作用なのだと感じる。
「…やっぱり、先に来てたんだね」
呟いた声は思いの外響き、ふたりの少女は動きを止めた。