愛色と哀色の夜
《乃愛》に言われるまま俺の側に来た麗亜は、俺にされた説明と全く同じことを聞いて驚いた顔をしていた。
俺がされた説明は簡単に言うと「麗亜と俺の記憶を統合させて、時空の歪みを修正する」というものだった。そのためには、俺と麗亜を知る人間には眠って貰わなければならないらしく
「…だから麗菓さん達を眠らせたの?」
もとから飲み込みの早い麗亜は、全てを言わずとも理解する。俺は麗亜の頭を撫で、肝心なことを告げた。
「そして、俺達ふたりの関係ももとに戻すんだ」
「貴男と麗亜は本来双子で、麗亜が姉なのよ」
麗亜達が話している間に告げられた言葉に、俺は驚きを隠せなかった。
時空が歪んだ影響で成人と少女の外見になってしまってはいるが、時空が歪んでいなければ麗亜は俺と同い年ぐらいになっていたという。
「ちゃんと正しい年齢にしないと、『if』世界とこっちの世界を繋げた時にアラが出るの」
《乃愛》は頷くと俺の傍らに立つ少女を見詰める。その瞳はこれから起こることに対する不安と、子どもに対する絶対の信頼を映していた。