愛色と哀色の夜
楼閣
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夢の中でわたしは、ひとりの女性と出会いました。
その女性はくりくりと丸い瞳にウルフヘアの、首筋に星のほくろがある、一見すると男性と間違えそうな外見でした。
女性はわたしに気付くと、人懐こい笑みを浮かべて此方に向かって来ます。
「こんにちは」
屈託のない、無邪気な笑顔で女性は告げると、わたしの隣に座りました。
「ボク……私は麗亜っていう、の。……あなたは?」
少しぎこちない感じに告げると首を傾げて此方を見る女性。その瞳は一点の曇りもなく、何故か胸が苦しくなるのを感じました。
「…わたし?……わたしは」
自己紹介をしようと口を開きましたが、中々次の言葉が出て来ません。自分の名前を名乗りたいのにまるで思い出せないのです。
「思い出せないなら、無理に思い出さなくていいよ…?」
気遣うような声音で女性は言うと、そっとわたしを抱き締めました。
「……大丈夫だよ、……菓耶(かや)ちゃん」
女性は何事かを呟くと、わたしの肩を抱き宥めるように頭を撫でて下さいました。
夢の中でわたしは、ひとりの女性と出会いました。
その女性はくりくりと丸い瞳にウルフヘアの、首筋に星のほくろがある、一見すると男性と間違えそうな外見でした。
女性はわたしに気付くと、人懐こい笑みを浮かべて此方に向かって来ます。
「こんにちは」
屈託のない、無邪気な笑顔で女性は告げると、わたしの隣に座りました。
「ボク……私は麗亜っていう、の。……あなたは?」
少しぎこちない感じに告げると首を傾げて此方を見る女性。その瞳は一点の曇りもなく、何故か胸が苦しくなるのを感じました。
「…わたし?……わたしは」
自己紹介をしようと口を開きましたが、中々次の言葉が出て来ません。自分の名前を名乗りたいのにまるで思い出せないのです。
「思い出せないなら、無理に思い出さなくていいよ…?」
気遣うような声音で女性は言うと、そっとわたしを抱き締めました。
「……大丈夫だよ、……菓耶(かや)ちゃん」
女性は何事かを呟くと、わたしの肩を抱き宥めるように頭を撫でて下さいました。