関谷くんは。【短編】
私が他の男の子と話すとき
関谷くんは一度無表情になる
それから
ふい、と私から視線を外すから
彼が本当はどんな表情をしているのか、私にはわからないけれど
話が終わって
関谷くんに近付いてみると
彼は私を見ようとはしない
寂しくなって
関谷くん、と小さく彼を呼んで
彼が顔を上げてくれるのを待つ
するとそっと顔を上げ
拗ねたように私を見つめて
「別に、気にしてない」
ぶっきらぼうに呟くのだ
そんな日の放課後は
私と彼は決まって教室に残って
誰もいなくなった頃
私は彼の成すがままになる