Powder Snow ~P.S会いたい~
「あずさちゃん、よろしくね」
"お父さんになる人"
いや、お父さんは、改めてあたしに挨拶した。
「よろしく、お願いします」
お父さんは、建築デザイナーだと言っていた。
髭を綺麗にととのえて、何だか紳士的だった。
「あずさちゃんは、塾とか通いたい?」
とお父さんが聞いてきた。
あたしは、中学3年生。
受験生だ。
今まで塾も習い事も、通ったことはなかった。
「通わなくて、いいです」
あたしはそう答えた。
通える範囲で高校に行って、
卒業したら早く家を出たいと思った。
将来の夢とかまだないけど、
通える範囲で大学に行けたらいいな、
そう思った。