捕らわれ姫
「せ…っ」
“先生”の言葉が咽の奥に張り付いた。
何故なら、挟むように私の背後から伸びた手。私のすぐ横には、先生の顔があったから。
……いい匂い。
先生の、普段のヨレヨレ姿からは想像出来ないくらいに、爽やかな匂いがする。
―――でもっ
「せっ 先生、近い…!」
息づかいが聞こえるほど近すぎて、私は身動きできない。
そんな私に気付いてない先生は、「姫野さんは小さいですね」なんて話し始めた。
――そんなのどうでもいいんですけどっ!
.