捕らわれ姫




「ゴホッ……ケホッ」



……想像以上……っていうか、見てる以上に凄いんですけど。埃が。


あまり埃をたてないように優しく拭き取ってるけど、中々どうして……何年分の埃なのか、しぶとい。




「あ、もうこんな時間でしたか」


先生に言われて時計を見ると、私がまだ一割も進めてないのに、18時を過ぎていた。



「片付けて帰りましょう。

 ありがとうございました。続きは明日で」



……明日もか……。



「はい、分かりました」


私が脚立の一番上から下りようとすると、先生が近付いてきて下から手を伸ばしてきた。



「危ないから掴まって下さい」

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