捕らわれ姫




「危ないですから、気をつけて下さい」


言ってすぐ、固まって下りられない私の手を掴んだまま、先生はグイッと私を引っ張った。



「―――!」


ガタンッ



金属音がして、私は抱き抱えられてる事に気付く。



「せん「降ろしますよ」



今日何度目かの私の言葉を遮ると、ゆっくり私を降ろす。



「髪の毛、埃だらけですね」


言いながら、優しく私の髪に触れた。




―――どうしよう。


私は、おかしくなったかもしれない。


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