捕らわれ姫




私の言葉に先生はあからさまに大きな溜め息を吐く。



「お前、バカか?」

隣の関口君も呆れてる。



……だってしょうがないじゃない。

全然違うこと考えてたんだから。



少しの沈黙の後、

「関口君はいま私が言った事をやって下さい。

 姫野さんは―――」


先生が私の名前を出したと同時に、授業を終えるチャイムが鳴った。




俯いていた顔を上げると、先生は私を見ていた。

その視線に耐えられない。



「姫野さんは放課後、生物準備室に」



顔色変えず淡々と言う先生に、本当に泣きそうになる。


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