捕らわれ姫




私が動けないでいると頭上から

「姫野さんは自分でドアを開けれない子なんですか」


なんて聞こえた。



ゆっくり顔を上げると、いつもの無表情の先生がいた。



「早く中に入りなさい」


感情のこもらない言葉で言われた私は慌てて中に入った。

先生はドアを閉めると立ち尽くす私を追い越して席に座る。



「早く掃除を始めないと帰りが遅くなりますよ」


その先生の言葉に、あれ?と思った。



先生も私の表情が変わったのに気付いたのか、パソコンのキーボードから手を離す。


私の頭の中はハテナ(?)だらけ。

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