捕らわれ姫




………えっと…………?



「なんですか」

「えっ や、いや…」

「ハッキリ言いなさい」



私の戸惑いに、先生は明らかに苛ついていた。


私はこれ以上怒らせる前に、ゆっくり口を開いた。



「えっと……授業中の無駄話のことで呼ばれたんじゃないんですか…?」



私が恐る恐る口にすると、先生はハッとした表情を見せて。次の瞬間には、「ハァー」と大きな溜め息を吐いた。



「せ、んせ?」


頭に手を置いて俯く先生に、声をかける。

先生はピクリとも動かない。



そして少しの沈黙の後、先生はゆっくり私を見た。

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