捕らわれ姫




「姫野さんは準備室の掃除をしてくれてますから、今回は何も言いません。

 その代わり、次は無いように気をつけて下さい」



淡々と事務的に話す先生に、私は小さく返事をするだけだった。


先生は言い終わるとパソコンの画面を見てキーボードを打ち始める。

それを見て、軽く頭を下げると私もバケツと雑巾を持って廊下の流し台まで向かった。





ジャ―――…



……溜め息吐かれた。

私何かしちゃったのかな。



バケツに水がたまるのを見ていたら、背後の風が動いた。



「姫野さん。 姫野さくらさん」

「―――っ」



またしても、先生は耳元で私を呼んだ。

両腕は私の体を囲むように流し台に置かれてる。


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