捕らわれ姫
子供みたいな私の質問に
答えてくれますか……?
――ブッ
『三上先生、お電話が入ってます。至急、職員室までお願いします』
放送に、今まで音の無かった世界が急に騒がしくなった。
すぐ後ろでバケツから溢れ出した水の音に、慌てて蛇口をひねる。
「呼ばれたので少し席を外します。
もし私が戻ってこなかったら時間をみて帰って下さい。鍵は閉めたら職員室へお願いします。
あまり遅くならないように」
さっきまでの空気が嘘のように淡々と告げると、先生はそのまま行ってしまった。
私は流しに手をついたまま、振り向けない。
.