捕らわれ姫




「彼氏でも待ってるの?」

「かっ彼氏って…!
 ち、違います! 掃除を」


「中山先生」



存在しない“彼氏”の単語に、慌てて掃除の説明をしようとしたら……先生の低い声が遮った。


いつもと違う声に中山先生も気付いたのか、慌てて先生を見る。

その視線を受け止める先生。



「すみません。姫野さんに少し話があるので、先に行ってて下さい」



三上先生の言葉に、何故か顔を赤らめた中山先生は、

「分かりました。お待ちしてますね」

と軽く会釈して立ち去った。




……はっきり言って、なぜだか分からないけど気分が良くない。


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