捕らわれ姫




「だから――」



これ以上騒がないで……




「嘘ついてんじゃねぇよ。

 あれはどう見ても襲われてるようにしか見えなかった」



彼の真剣な瞳に、言葉を失う。


身体の緊張がいつまでも解けない。




「ほ…んとなの…」

「じゃ、人気(ひとけ)の少ないこんなとこで何してたんだよ…」



……信じてくれた…?



「私、生物担当で……三上先生に掃除を頼まれて」

「はぁ?! んなの姫がやらなくても」

「ほ、ほら、私部活してないし昨日も授業ちゃんと聞いてなかった罰みたいな……っていうか、関口君はこんな所で何してるの?

 部活は? 確かバレー部だよね?」

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