捕らわれ姫




「――おま…っ 危ないだろ!」



怒鳴り声と同時に痛いくらい両肩を掴まれて引きはがされた。

視界が明るくなったと同時に、先生の見たことない顔が目の前にある。




「ご、めんなさ…」



怒鳴られたせいじゃない。

いや、それも多分原因かもしれないけど……それよりも、びっくりし過ぎて。



「ふっ………ヒック……」


まさに今、自分が危ない目にあった事。

先生に力一杯抱きしめられた事。



先生の、初めて見た怒った顔、怒鳴り声諸々に。




「………ごめ…っんな、さ…」



涙が溢れて止まらなくなってしまった。


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