捕らわれ姫






もう―――自分が自分じゃなくなる。


自分の感情なのにコントロール出来なくて。







「ヒック……う〜〜〜…ヒッ…」



泣きじゃくる私に、先生は何も言わない。


それが余計に泣けてくる。








「姫野」


「……は、い…」



しばらくして、低く甘い声でゆっくりと私の名を呼ぶ先生。




「顔を上げなさい」


やだ。



ふるふると顔を左右に振る。が、顔を隠していた手を掴まれて剥がされた。

< 62 / 69 >

この作品をシェア

pagetop