捕らわれ姫




「顔を上げて下さい」



その言葉に、唇を噛む。







泣いちゃだめ。



まだ、泣かないで。

















顔をゆっくり上げると―――先生の、真っ直ぐな瞳が私を捕らえる。








グイッと引っ張られて。





私の瞳には、先生の長い睫毛。

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