連想ゲーム



限界かな…


本当はずっと、心に秘めていた人がいる。
それはとても叶わない恋で、苦しい恋。
だから、私は彼に逃げたんだ。


「篠田ちゃん、大丈夫?」

急に肩を叩かれ、私は背筋をピンと伸ばし振り返る。

この声の主こそ、私の片思いの相手。
同僚の親友の彼氏。

「大丈夫ですよ、まだ全然イケちゃいます」

「いや、そういう意味じゃなくてさ、武田の事。無理してないか?」

こんな状況で、そんな深刻そうな顔で言われたら、つい本音をもらしてしまいそうになる。

ずっとしまってきた先輩への気持ちを。しかも本人に。


「何言ってるんですか、早く戻らないと真美が心配しますよ?」

そう促して戻ろうとした瞬間。

力強く腕を引っ張られて、私の身体は先輩の胸へと飛び込んだ。


「…君が好きだ。真美に告白される前からずっと」

低音の心地よい声が、困惑する私の耳をくすぐり、まるで時が止まったかのように、鼓動だけが私の中に響く。

「今更ズルいよな、俺。でも、最近の君の姿を見ていたら、もう抑えられなくなってた」

そう言って、身体を離した先輩の瞳が熱を帯びていて、その真っ直ぐな熱い視線に、私の決意はもろくなる。

「私も…ずっと前から先輩の事が…」

耳が、顔が、発熱するのはお酒のせい?

私達はお互いの気持ちを確かめ合うように、静かに唇を重ねた。



[私]と言えば[彼]

[先輩]と言えば[親友]

だけど、今は…




[完]





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