ありがとババア
ピンクのTシャツが、汗でビチョビチョになった頃

「あったあった」

お母さんが1軒の家の門の前で、足を止める。


石でできた表札には

『遠藤』と彫られてあった。


「いやぁ~、隣の奥さんは何でも知ってるわ!まさか、ありがとババアの家まで知ってるとはね~!」

「ちょっとお母さん?」

アナタまでババア言うんですか?

「だってぇ~主婦の間でも噂だったんだもん!通り過ぎるだけで『ありがとねぇ』ってお礼言われちゃうんだからぁ」

…そのアヒル口、やめれ。

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