はちみつれもん

side 隼人


先コーがクラスに来ても、まだ俺の周りで女たちが煩く騒いでいるのが気に入らない。

香水臭くて厚化粧の女なんか、元より興味なんて欠片もない。
まぁ、暇潰しにはなるけど。


暇潰しにであろうとかまってるんだから、
俺もその女たちと変わらないかもしれないけど。


そんなことを思って、自嘲気味に笑った。

それを、話の内容に笑ったと思った女たちが更に煩くなる。



そんなとき、麗奈が席に戻ってきた。
それによって先コーの存在に気づいたらしく、女たちも各々の席やクラスに帰っていった。


席についた麗奈をみて、ふと思う。

“こいつ、媚びねぇなー”
それなのに、可愛いとも思う。


「ねえ、」

話しかけると、「なあに?」と俺の方を向く麗奈。



「麗奈って呼んでいい?」

いきなりの名前呼び。
馴れ馴れしいと思ったのか、一瞬明らかな嫌悪が表情に出ていた。
< 14 / 38 >

この作品をシェア

pagetop