冷たいお兄ちゃんと禁断の恋

「そろそろ帰ろっか」

中野くんのその言葉で会話は終わった。


「そうだね」


私は中野くんの置いた花束の前で手を合わせる。




「ありがとう、富田さん」


「え?」



中野くんは、どこか切なそうな顔でそう言った。



「じゃあね、また明日」


「あ、うん…また明日」




軽く手を振り、それぞれ反対を向いて歩き出す。




後ろを振り返ってみると、ずっと先に中野くんがポケットに手を入れながら歩いてるのが見えた。




その後ろ姿を見て、心が切なくなるのは私だけなんだろうか?








ふと、携帯の時計を見ると2時15分。



3時間以上もこの公園にいたことになる。






お兄ちゃん、起きてるのかな?




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