冷たいお兄ちゃんと禁断の恋


『実は俺、妹がいたんだ』


『妹?』


『うん。だけど、ここで死んじゃったんだ』





自分で話したくせに、俺は涙が出そうだった。

あの日のことを思い出してしまう。





涙が出そうな顔を下に向ける。








その時、俺の体を柔らかなものが包んだんだ。







『泣かないで』







そう言いながら、俺を強く抱きしめた。








『妹ちゃんも、きっと天国で思ってるよ。だから、泣かないで?』





『うん…』






『大丈夫。大丈夫だよ。私がいるよ』













かっこ悪いくらい泣いた。




その子の腕の中で。
















涙と一緒に、色々なものを流してしまった気がした。




後悔はなくならなかったが、気が楽になった。









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