ぼくらの世界は…。
目指すもの
『ねぇ、どうして?』
聞かれても、答えられなかった。
『僕だって頑張っているよ?!なんで?どうして?!』
その通りだと思った。
顔を真っ赤にして、怒って泣いている、俺の双子の弟、拓真。
うん、拓真は頑張っているよな?
俺もそう思うよ。
『どうして兄さんだけがほめられて…。僕はいらない存在だったの?』
『ごめん…。』
どう答えていいかわからなくて、ただ謝った。
けれど、その言葉はもっと拓真を傷つけていた。
『謝られても…困るよ!!僕はどうしたらいいの?誰も僕を見てくれない。双子なのに、双子なのに、全然違う!僕が蒼雅になりたかった!!!』
小さな拳を握りしめ、泣きじゃくる弟を見て、俺は「そうか。」とひらめいた。
『うん、拓真が俺になればいいよ。』
『そんなの無理だもん…。』
悔しそうに、小さな声で反抗してくる。
『うん…無理だ。じゃあ、俺は俺、拓真は拓真、そのままで拓真が蒼雅になればいい。』
意味がわからないと言うように、泣き顔で首をかしげる拓真。
ふっと笑って見せて、拓真にささやいた。
『大丈夫。拓真は充分かっこいい!頑張ってる!俺に任せておけ。』
意味はわからなかったようだけれど、俺は無理矢理拓真を頷かせた。
『拓真は、すごいんだ!!』