ぼくらの世界は…。
君が大事
誕生日プレゼント
「……い、おーい、蒼雅?」
「ん、ぁ?夢…?…ふあぁぁ。」
大きなあくびをして、重い体を無理矢理起こす。
この声は、優基?
「おぅ、蒼雅!!起きたか?」
やはり悪友の優基の声で、それと共に他の悪友たちの笑い声も聞こえる。
「はぁーやく降りてこいよ!!」
俺はよく、この大樹の上で昼寝をする。
日当たりも良く、高い場所だから風が吹くのがたまらなく気持ちいい。
昼寝には絶好の場所なのだ。
「おーい?」
下から聞こえる声に、はっと我に帰る。
「おぅ!起きた。今下行くわぁ。」
優基達に聞こえるように大声で言い、風の精霊に呼び掛ける。
「下に降りたいんだ。風の力、かして。」
すると、ふわりと風が俺の体を包み込み、俺の体は宙に浮く。
そのまま下の優基達の所に下ろしてくれる。
「…ありがとな。」
風に礼を言い、やけに楽しそうな優基達に向き合う。
「待たせたな、どうした?」
俺を待っていた悪友たちは4人。
悪友たちの中でも一番仲がいい、リーダーみたいな優基(ゆうき)に、よく気が合う亜斗(あと)。それから、クールだけれど仲間想いの魅春(みはる)に、子供っぽい遠夜(とおや)。
皆気のいいやつで、いつも一緒に悪をやっている。
「ん~?誕生日プレゼント持ってきた☆」
にんまりと何かをたくらむその優基の笑顔は、何度も見て来た。
その度にろくな目に会わなかったけれど、いつも楽しいから悪い気はしない。
「今度は何?…、って、え?俺、今日誕生日?」
素っ頓狂な声を上げると、悪友たちは笑いだす。
「ぎゃはは、自分の誕生日忘れるとか有り得ねぇ…!」
遠夜は腹を抱えて派手に笑っている。
ちょっとやそっとじゃ表情を崩さない魅春も、くすくすと口を押さえて笑っている。