LOVE PRINCESS(歩夢&真希)


「これだ、これ!」


自分で言ったくせに。
“お姫様”なんて言葉を発した自分が恥ずかしくて行動で試そうとしたら


「ばっ、馬鹿じゃないの!
そんなのもっと恥ずかしいわよっ」


そう突き放されてしまった。


あぁ?
もっと恥ずかしい、だと?


あー、そっか。
おんぶも恥ずかしかったってことか。


「はいはい。じゃあ素直におんぶされてね?」


もう一度しゃがみ、元の体勢になった。

諦めたのか、少し間をあけて真希が俺の肩に手をかけた。


「よしっ! 初めから素直にそーすりゃあいいのに」

「うっさい! …ぎゃっ」


立ち上がった瞬間、何とも色気のねー声が背中から聞こえた。


頑張って小走りで帰る俺に、危ないだとか。もっと丁寧に運べとか。後ろからポカポカと背中を叩かれる。


「てかさ、真希」

「なっ、何よ!」


そして何故か、ずっと喧嘩口調で。


「そんな体勢でおんぶされてて、お前は疲れない?」


俺の背中に何も当たらない。

後ろを見ることは出来ないけど。

多分すげー姿勢よくしてる気がする。


でも、それって俺も逆に疲れるんだけど。

前屈みにしてなきゃ落ちるんじゃねーか、と思ってさ。


「べっ、別に!」

「てか、俺が疲れるから、もうちょいくっついてくんない?」

「こ、こう?」


って何か変わったのか?

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