LOVE PRINCESS(歩夢&真希)
「あゆー、学校遅刻するよー?」
「兄ちゃん! “あゆ”って呼ぶなっつってんだろ!?
俺は歩夢だ!」
“あゆ”なんて女みたいな呼び方すんじゃねーよ。
最近の俺は、1番上の兄ちゃんが何かムカツク。
今までは、優しくて大好きだったんだけどな……。
全ては、愛未が来てから。
愛未が兄ちゃんを変えちゃったんだ!
俺とのゲームの時間は大事にしてくれてたのに、今じゃ愛未が邪魔するし。
んで最後は、愛未とゲーム対戦させられている俺。
俺は!
兄ちゃんとゲームがしたいのに。
「何だ~? あゆ君、機嫌悪いようだね」
「るせーっ! チビ林左は黙ってろ!」
「あぁ? 愛未と同じ呼び方すんな、チビ林下」
これは、真ん中の双子の兄ちゃんの片割れ。
“チビ林左”っつーのは、愛未が双子の兄ちゃんを見分ける為に呼ぶ言い方だ。
チビ林右と左……なんて簡単な言い方なんだろう。
「こらこら~。朝からケンカしないのー」
間が抜けるような言い方の母さんの一言で、俺は兄ちゃん達を睨んで先に家を出た。
母さんの『歩夢、ごはんは~?』なんて無視だ! 無視!
……無視なんてしたら、帰ってからが恐いんだけど。
でも今日は、気分が悪いから無視……。