LOVE PRINCESS(歩夢&真希)
ただ、真希には違ったみたいで。
机に倒れ込んだ俺横を勢いよく風が通った。
そして、黒板を荒々しく消す音が聞こえてくる。
ふと顔をあげると、真希が黒板を必死に消している姿が目に映ったんだ。
「大橋、大胆だなー」
「歩夢の事、好きだったのー?」
黙々と黒板を消す真希に、冷やかしの声は増すばかり。
イラッとした俺が、立ち上がって止めようとした瞬間
「歩……、林なんか好きじゃないわよ!
これも見間違い!」
そう聞いたこともないような大声で言った真希の言葉に、騒いでた男も一瞬にして黙る。
そして真っ赤な顔して、少し潤んだ瞳の真希と目が合ったと思ったら、そのまま教室から飛び出して行ってしまった。
席を立ち、騒いでた男のところへゆっくりと向かう俺。
「林~、振られてやんのー」
「林ー、頑張れよー」
たった今、真希にビビって黙ってた男達がまた騒ぎ出す。
女に怯んだくせに。
だせー奴等(笑)
「うるせーよ。女からかって、お前等ガキか?」
「なっ、なんだよ。ってか、林が大橋のこと好きなんじゃねーの?」
誰が、誰を、好きとかさ。
名前を何て呼ぶとかさ。
お前等に関係あんのかよ。
まじでウザイんだけど。
「……だったら?」
「へ?」
「だったら何? って聞いてんの。
俺が真希を好きだと何か迷惑かけるっけ?
てか。俺が真希を好きなのは、お前等には関係なくね?」
そう言うと俺も教室を飛び出し、真希を探した。