LOVE PRINCESS(歩夢&真希)
やっとの思いで見つけた真希は、使われていない教室の前で座り込んでいた。
こんな使ってない教室の廊下なんて、逆にわかりにくいって。
授業も始まり20分を過ぎた頃……やっと見つけた真希の隣に腰を下ろした。
「お前さぁ。
隠れんなら保健室とかさ?
わかりやすいとこにしてよ」
「え? あ、歩」
涙を流した後が頬に残っているのを見て、何となく胸が痛くなった。
あんな事で泣いたのかよ。
そんな嫌だったのか?
「べ、別にどこに居ても……いいじゃん」
「まぁな」
授業中の廊下は、静かで。
たまに聞こえる遠くの笑い声や、音楽室からのピアノの音。
凄くゆっくり時間が流れる。
そう思っていたのは、俺だけだったみたいで。
「てか、何で黙ってんのよ!」
そう今度は、怒る。
「え。こんな時って静かにそばに居ればいいんじゃねーの?」
って愛未が、いつも言ってるけど。
『女はそれだけでいいんだから喋るな!』って。
「何それ? こんなところで黙ってられても困る!」
「へいへい。で、何の話すればいいわけ?」
「知らないわよっ! 自分で考えなさいよ!」
何だ、コイツ。
俺は、コイツが全然わかんねぇんですけどっ。