LOVE PRINCESS(歩夢&真希)
「はぁ?」
「川口に返事したんだろ?」
「え? あぁ、うん。したけど」
「付き…合うの?」
「そっ、そんな事より、気になるって何よ?
あゆが先に答えてよねって、あゆ?」
真希の手首を掴み、また視線を床へと移す。
「俺の告白の返事はくれないのに?」
「告…白?」
そのまま、2人共黙ってしまった。
真希の細くて、冷たい手首を掴んだまま。
部屋の外からは、前を通る女子の笑い声や、たまにドアを開けた時に聞こえる下手くそな歌声や、
『中学最高だった!』
なんて声が聞こえてくる。
「歩……痛いよ?」
「あゆって呼ぶなっつってんだろ?」
「歩夢より、歩の方が呼びやすいんだもん」
てか、俺何してんだよ、な。
真希の言った通り、俺には関係ねぇし。
しかも、告白の返事くれとか。
今更だしよ。
今まで何も言わなかったくせに、真希が告られたからって急に焦って返事くれとか、ダサ過ぎる。
握ってた手首を離し、ゆっくりと立ち上がった。
「えっ?」
「悪ぃ。俺には関係ないって言ってんのに聞きまくって悪かったな」
真希を見下ろし、優しく微笑んだ。