LOVE PRINCESS(歩夢&真希)
「ちょっと、歩?」
「だから、あゆって呼ぶなってんだろ?」
ケラケラ笑いながら、部屋のドアを開けた。
「あー、俺帰るから皆に言っといて?」
「え、ちょっと、歩?」
あゆって呼ぶなって言ってんのに。
真希の呼ぶ声を無視してドアを閉めた。
階段を駆け下りながら、馬鹿だな俺。なんて思った。
下に着くと、辺りは暗くなり始めてた。
まだ少し冷たさの残る風に吹かれながら歩き始めると、
「あ! 待って! 林君っ!」
聞き慣れない声に振り返った。
はぁはぁと息を切らして俺の前に立つ女子は、確か……1組の子かな?
「かっ、帰っちゃうの?」
そう言うと、にっこりと可愛らしい笑顔で微笑んだ。
「あーうん、帰るけど」
「そっか。あっ、あのね? 突然なんだけど。
私、林君の事ずっと好きだったんだ」
少し赤くなった顔を隠すかのように少し俯いた。
「高校も別なんだけど…良かったら付き合って欲しいなって思って」
さっきよりも赤くなった顔で俺を見上げ
『駄目かな?』
って首を傾げる。
あぁ……多分、男ってこんなのに弱いのかも。
そんな事を冷静に思ってしまった。
これを真希にされたら、俺……完全に落ちるな。
って、もう落ちてるのか。