LOVE PRINCESS(歩夢&真希)
「林君?」
違う事を考えてたせいか、目の前の女子が不安そうな顔を見せた。
「あーごめん。俺、好きな女いるからさ」
「そっか。それって大橋さん?」
「え? ……うん」
「やっぱり大橋さんを好きだって噂は本当だったんだね。
あ、ごめんね。呼び止めちゃって。
高校行っても元気で頑張ってねー」
「おー、ありがと」
バイバイって手を振り、カラオケボックスへと走って行ってしまった。
けど……俺、名前すら聞いてなかった。
見た事はあるんだけどなぁ?
誰だったかなぁ……。
「松川さん」
あ、そうだ!
松川だ! って……
「はぁ?」
振り返ると、今度は真希が居た。
「松川さんでしょ? 今の」
「お前、何でここに居んの?」
「帰るからよ」
俺を見上げ、睨んだ後に目を逸らす。
意味が全然わかんねぇ。
何でお前も帰るわけ?
「告白されてたの?」
「え? うん」
「で、返事は?」
「したけど?」
「何てしたの?」
「断ったけど」
「どうして?」