薇姫/獣帝




ガラッ


暫く京汰が待っていると、襖が開いた。



そこに思った通りの長い藍色の髪を靡かせる琉稀と、棗………と…




京汰は目を見開いてその人物を凝視していた。



『………京汰、久しぶり』


「ぉ、お久しぶりです…」



「何だぁ?


いつもみたいにぎゅっ♡って抱きつかねぇのか?」



「しっしてませんよそんなの!!」


声を裏返せて反論する京汰の言葉には説得力が無かった。




「………きょ、た………」



京汰の揺れる視界に、翔平が映る。



『………親友とのご対面はどうだ?』



琉稀は意地悪気に口角を上げて翔平、京汰、どちらともなく聞いて来る。



「「………」」



2人は黙ってお互いを見た。



「男が見つめあってる…オエっ」


『それは…言っちゃダメだ………』


「酷いっす琉稀さんも棗さんも‼」



棗はケラケラと笑いながら琉稀の腕を引っ張って部屋から出た。




琉稀は不思議そうに棗を見たが、納得した様な顔をしておとなしく引っ張られていた。



< 102 / 430 >

この作品をシェア

pagetop