薇姫/獣帝
ガラッ
暫く京汰が待っていると、襖が開いた。
そこに思った通りの長い藍色の髪を靡かせる琉稀と、棗………と…
京汰は目を見開いてその人物を凝視していた。
『………京汰、久しぶり』
「ぉ、お久しぶりです…」
「何だぁ?
いつもみたいにぎゅっ♡って抱きつかねぇのか?」
「しっしてませんよそんなの!!」
声を裏返せて反論する京汰の言葉には説得力が無かった。
「………きょ、た………」
京汰の揺れる視界に、翔平が映る。
『………親友とのご対面はどうだ?』
琉稀は意地悪気に口角を上げて翔平、京汰、どちらともなく聞いて来る。
「「………」」
2人は黙ってお互いを見た。
「男が見つめあってる…オエっ」
『それは…言っちゃダメだ………』
「酷いっす琉稀さんも棗さんも‼」
棗はケラケラと笑いながら琉稀の腕を引っ張って部屋から出た。
琉稀は不思議そうに棗を見たが、納得した様な顔をしておとなしく引っ張られていた。