薇姫/獣帝
「「………はぁ?」」
棗と京汰は目を見開いて呟いた。
琉稀は予想していたかの様に翔平を鋭く見据えた。
『………翔平、この世界は真っ暗だ。』
琉稀の言葉に耳を傾ける翔平。
「解ってます。
でも、俺は黒いんですよ、既に。
族にはいってたし…『族なんかで黒にならないよ』
翔平は琉稀を見て息を呑んだ。
瞳は、銀と赤なのに。
暗い。
『ここは、危険地帯で済まされる問題じゃねぇんだ。
解ってないよ、翔平はまだ。
いつ死んだっておかしくない。
それを受け止められるか?
ここでの死を、受け入れられるか?』
翔平は1度、目を伏せた。
何分たったかわからない。
そんな微妙な時間が経って、翔平を目を開けて琉稀を意思の強い目で見つめた。
「出来てます。
覚悟」
その言葉に、琉稀はニタリと笑った。
『その目は合格』
棗は呆れた様に琉稀と翔平を見て、京汰は翔平に近寄った。
「何で、ここくんだよっ!?」
京汰の言葉に翔平は笑って答えた。
「俺、どうせ親いねぇし。
1人は寂しいんだよ」
その言葉にぐっと言葉を飲み込んだ京汰に翔平は本当に明るい笑顔で言った。