薇姫/獣帝
私は軽い気持ちで來哉に拳を入れた。
そしたら、サッと私の拳を自分の掌で受け止めた。
へぇ……あんまり私の拳を受け止める奴はいないんだけど…
あぁ、軽く殴ろうとしたからか。
「おい、葵本当に殴るなよ」
『殴らねぇよ。
そこまで落ちぶれちゃいねぇし、來哉じゃなくても相手はいっぱい居るし』
指をパキリと鳴らすと、恭輔がゴクリと喉を鳴らした。
「……」
…お前はまだ睨み合いがしたいのか。
『もう終わり。
馬鹿馬鹿しくなってくる』
呆れながら言うと、來哉は眉を寄せてムッとした表情になった。
…顔が可愛ければ可愛くなっただろうに。
残念。実に残念だよ。
「「ぎゃははははは‼」」
私はしらけた目を爆笑する伊織と柊に向けた。
「あー、葵がヤバい、顔」
陽と尚がお腹を押さえて爆笑しながら葵を指差していた。
恭輔も肩を震わせてるし、透璃はニヤニヤした表情で來哉を見ていた。
「……殺す」
……無理っす。