薇姫/獣帝
「……………琉稀?」
いつの間にか目を瞑って眉間に皺を寄せてたらしい。
紘は私の名前を呼びながら眉間をグイグイと逆に引っ張った。
その子供が勘でやる様な行為にクスリと笑ってしまった。
紘は一瞬目を見開いた後、ふわりと優しく笑った。
「なぁなぁ、屋上いかねぇ?
紘も。」
尚は目をキラキラさせて、笑いながら言った。
『私はいいけど……………』
「行こう」
紘はそう呟いて私の腕を掴んでグッと持ち上げた。
その反動で私の体も持ち上がる。
尚は満足気に笑ながら透璃の頭を叩いていた。
透璃はビクリと体を震わせてからゆっくりと立ち上がった。
『透璃、倒れそう…』
「大丈夫。
喧嘩ん時もいっつもこんな虚ろな目してっから。」
……………虚ろ。
透璃の頭を一撫ですると、透璃は私を視界に捉えてへにゃりと笑った。
可愛いすぎる。
私は撫で続けてると、紘が不機嫌そうなかおで私を見ていた。