薇姫/獣帝
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時間が経つのは早いもので、起きると朝になっていた。
この前倒れた時から獣帝に家を知られたから家まで迎えに来る。
私はシャワーを浴びにバスルームに向かった。
ーーーーピルルル
機械的な固い音が遠くで聞こえる。
私はシャワーを止めて手をさっと拭いて携帯を手にとった。
『はい……………』
「ーーーーーーーー」
電話相手は思っていた人物等とは違った。
父から。
「ーーーー今日の夜、怜央が帰ってくる。
琉稀も来ないか?」
はは……………
断っても、どうせ来い、と言うくせに。
『解りました。
ですが、私情があるので顔を出すのは12時過ぎになるかと。』
「あぁ、わかった。
棗を行かせる。××-××のナンバーの車で向かわせるから、それに乗って来い」
父はそう言って電話を切った。
今日は棗か。
私は前髪を掻き上げながら目を伏せて携帯を強く握った。
……何の為に私は存在するのだろう。
きっと、こんなところの監視なんていらないだろう。
なのに、あの人は私を傍におく……
『…捨ててくれればいいのに』
ポツリと呟いた言葉は、バスルームに反響した。