薇姫/獣帝





車に乗って、皆で騒いでいた。


…いや、陽と尚だけだけど。




私は目を瞑って脳を必死に働かせた。




終了式、って事はもう明日から夏休みと言う事になる。



仕事をあまり出来てないのが現状だ。






昨日も仕事を私情でしなかったし。



小さく溜息を吐いた。





「琉稀!」



ぐいっと手を引っ張られ、目を開くと目の前に尚の笑顔があった。




「夏休み、いっぱい遊ぼう!」



尚は目を細めて笑っていた。




無邪気なその笑顔が無くならなければいいと思った。


なぜだか、最近はこいつ等の事ばかりだ。



私は尚に微笑み返した。



その瞬間尚は赤くなり、私から顔を逸らした。


「うわぁ、顔赤。


照れてんの?」



「て、照れてないしっ!」


出た、微妙なツンデレ。




陽はそれが面白いのか、ケラケラ笑いながら尚を見ていた。




來哉は私の隣で寝ていたが、大声で騒ぎ出した尚と陽の声に薄く目を開け、




透璃は爆睡、恭輔はパソコンと睨めっこ。





……………統一性な。




私はそんなバラバラな皆を見渡しながら少し目を細めた。




< 235 / 430 >

この作品をシェア

pagetop