薇姫/獣帝
車に乗って、皆で騒いでいた。
…いや、陽と尚だけだけど。
私は目を瞑って脳を必死に働かせた。
終了式、って事はもう明日から夏休みと言う事になる。
仕事をあまり出来てないのが現状だ。
昨日も仕事を私情でしなかったし。
小さく溜息を吐いた。
「琉稀!」
ぐいっと手を引っ張られ、目を開くと目の前に尚の笑顔があった。
「夏休み、いっぱい遊ぼう!」
尚は目を細めて笑っていた。
無邪気なその笑顔が無くならなければいいと思った。
なぜだか、最近はこいつ等の事ばかりだ。
私は尚に微笑み返した。
その瞬間尚は赤くなり、私から顔を逸らした。
「うわぁ、顔赤。
照れてんの?」
「て、照れてないしっ!」
出た、微妙なツンデレ。
陽はそれが面白いのか、ケラケラ笑いながら尚を見ていた。
來哉は私の隣で寝ていたが、大声で騒ぎ出した尚と陽の声に薄く目を開け、
透璃は爆睡、恭輔はパソコンと睨めっこ。
……………統一性な。
私はそんなバラバラな皆を見渡しながら少し目を細めた。