薇姫/獣帝



体育館に行くと、先生が何か言っていたが煩い皆の騒ぎ声に掻き消されていた。



「理事長の挨拶」


先生の弱々しい声がそう言うと、ピタリと煩い声が無くなった。



來哉達と居るが、尚と陽は騒いでいたのに喋らなくなった。



静かな空間の中、ステージの前に出てくる柊。



「はい。一学期終わりー。」



……………



柊はそれだけ言うとそそくさとステージの隅へと行った。




…柊。




終了式くらいちゃんとしろよ。



私は額に手を当ててはぁっと息を吐き出した。



「理事長って自由人だよねー」



尚は感心した様に言う。



……いや、感心するな。




終了式はぼうっとしてたら終わっていた。



來哉に手を引っ張られ、ようやく気づいて体育館から出た。



「このまま倉庫行くか?」


來哉が私の顔を覗き込みながら聞いてくる。


『どっちでもいいよ』



そう答えると、じゃぁ行くぞ。と來哉は下駄箱の方向に歩き出した。



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