薇姫/獣帝
「ねぇー琉稀ー!」
尚が私の顔を覗き込む。
車の中でぼーっとしていた私は突然の尚の顔にビックリして拳を握りしめた。
「琉稀が驚くとか‼珍し‼」
尚がケラケラと笑ながら私の手に紙をおく。
「これ、夏の計画表」
その言葉とその渡された紙を見て呆然とした。
カレンダーの様なものにびっしりと詰められた予定があった。
「忙しいよ、夏は」
恭輔は困った様に眉を下げながら溜息を吐いた。
コレは……
『行き来する方が面倒くさいな…』
私は前髪を掻き上げながら呟いた。
「夏休みの間こっちに住む、と言う事も出来るが…」
『じゃ、それでいいよ。
でも、時々戻るからね』
「……あぁ」
來哉は私を心配気に見ていた。