薇姫/獣帝



「てか、紘どこ行った?」


陽が携帯を弄りながらチラリと私を見る。


『…死んだ』



「いやいやいや、嘘ぉ、やめてそんなの」



尚が耳を塞いで目を潤ませる。



誤魔化せられないよな…


『用事。


兄貴とどっか行く言ってた。』


「何?

理事長と氷室?」


恭輔は首を傾げながら呟く。


紘にはもう1人、兄貴が居る。


まぁ、あいつなんてこいつ等は一生知る事も無いし。


私は何も言わずに目を開けた。



「…琉稀、最近よく目瞑る」


透璃は私の目尻を人差し指で突っついた。



それに反射的に目を細めると、陽が笑いながら「眠いんじゃね?」と言った。




『別に眠くない』


「それは?」



『……事実だ馬鹿野郎』



「チッ…ノれよ~」



皆笑いながら喋っていると倉庫に着いて、私と來哉はバイクの元へと行った。




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