薇姫/獣帝
重苦しい雰囲気になったものの、尚が明るく振舞って皆は平常に戻った。
『明日は何かある?』
恭輔に聞くと、恭輔は思案顔でん~と唸りながら考えていた。
「……確か、海行くんだと…」
『海?』
初っ端からそんなメジャーなとこ行くの?
「あ、水着‼
水着買わないと‼」
尚が顔をバッと上げて叫んだ。
……私も持ってないな。
「あー、俺も。
水着とか、去年であぁなったし…」
「……去年か…俺もだ…」
全員が全員持ってないらしい。
てか、去年であぁなったって何だ。
私は欠伸をしながら皆の話に耳を傾けた。
「よし‼
行く前に明日買いに行こう!
琉稀も持ってきてないでしょ?
ど う せ 。」
何だ、ど う せ 。 って。
イラっとした私は
『持ってないよ』
と理不尽にキレた。
「よーし決定‼
じゃぁ、早めに出よう!」
尚は元気に言い放って下におりて行った。
『紘には私から言っておく』
「あぁ、頼む」
來哉がそう言って、皆も尚を追って下におりて行った。
少し寂しいと感じたのは、気のせいだ。