薇姫/獣帝





『…尚』



「嫌だ………


死ぬな…」




尚は私を抱きしめて呟き続ける。




抵抗しても力が強く何も敵わない。



私は尚の耳を噛んだ。



「い゛っ‼」


『、ごめん』



耳からは少量の血がぽたぽたと落ちた。



「琉稀………」



『尚』



普通…とまではいかないけど、少しは意識が戻った尚の名を呼びかける。




『尚、私は居なくならないよ』





何が尚の闇なのか。




私の闇は何なのか。




それを交換すればいい事だろうけど、








私の闇なんて、悲痛で話すだけ無駄だ。











「琉稀っ………苦しいよ…」




私を力一杯抱きしめる尚に何かがズキズキと痛む。





『尚………………』




尚はゆっくりと私を離して目を合わせた。





『私は、居なくなれないよ』






強く、そう言うと尚は泣きそうに顔を歪めてその顔を私の肩に押し付けて声を出さず泣いた。





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