薇姫/獣帝
「………琉稀、」
『ん?』
尚と手を繋いで隣り合わせに座り、尚は私の肩に頭を預けていた。
「…何も言わなくていいから、聞いて」
『……………』
私は目を瞑って繋いでる手を強く握った。
「単純な話。
誰にでも、これからあり得るかもしれない事だよ。
事故で親が死んだんだよ。
別に、この位で何を焦るんだ…って、親戚に散々陰で言われたよ。
でも、僕にとって家族が全てとも言えたんだ。
与えられる愛情を人一倍受けた。
事故は事故でも、故意的な物でも無かった。
だからこそ、苦しかった………