薇姫/獣帝
2日間、学校に行かず閉じ籠った。
飯は運ばれてくるけど、どれも無視してベッドでタオルケットにくるまっていた。
「…琉稀、いい加減にしとけ」
『………』
「琉稀」
棗はいつも私の側に居るだけだったけど、今は違った。
鋭く私を見据えていた。
「明日学校だぞ」
『………』
「わかってるか?」
返事をする気にもならないし、口を開く事だけでめんどくさい。
「………琉稀」
『…帰る。車頼む』
私はそう言って包まってたタオルケットをベッド上に投げ捨てた。
「頭はお前の為を思って言ったんだぞ」
『解ってる』
「わかってねぇよ」
『………ぃな…』
「あ?」
『煩いな‼
お前に言われなくても、あの人に言われた言葉の意味は解ってる‼
解ってるからこんなに悩んだんだろうが‼』
「………」
『………悪い…
頭冷やすから』
ふらりと部屋を出て行こうとすると、棗に手を引っ張られて棗の胸に飛び込んだ。
「………ごめん、琉稀」
棗は謝りながら私の頭を撫でていた。
「獣帝にお前を任せるとして、俺は違う事をする。
それでもいいか?」
『………うん…』
「そうか、送る。
行くぞ」
私の手を引いて向かったのは門の前でそこには車があった。
それに乗り込むと、棗も運転席に座ってエンジンをかけ、素早く車を出した。
静かな時間が続いて棗は一言だけ零した。
「…頑張れ」
解ってるよ。
『…ごめんね、棗』
「なにが?」
『…フッ、別に』
シートに深く腰かけて目を瞑った。
組長からの許しがでるまでは情報面で仕事をするしかない。
手を握ってそれに力を込めた。
マンションまで送ってもらい、お礼を言ってすぐに部屋に行った。
ノートパソコンを取り出して、それを起動させながら電源を落としていた携帯に電源をつけた。
『…うわ………』
不在着信・・・345件
新着メール・・・852件
エグいほどの件数が表示されている。
丁度來哉から電話がきて、出た。
『はい………』
「やっと出たかこのバカが‼」
來哉の怒声が聞こえて、思わず携帯を耳から離した。
「てめぇ何してやがる?!
2日間も連絡よこさねぇで‼
心配しただろうが‼」
『………ごめんね』
思った以上に事が大きくなってたみたいだ。
「………たく…無事ならいい…
明日は9:00に迎えに行く」
『解った』
「…じゃぁな」
そう言って切られた通話で來哉の声が聞けた事に感謝してノートパソコンに向き合った。